みんなで21世紀の未来をひらく 教育のつどい 教育研究全国集会

テーマ&討論のよびかけTheme & Call

みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい
教育研究全国集会2025

 

 

テーマ

憲法と子どもの権利条約がいきて輝く教育と社会を確立しよう

 

 

●コロナ禍をきっかけとした子どもたちを取り巻く状況の変化がもたらした、子どもと教育への影響をあきらかにし、子どものいのちを守り、はぐくみ、学び・遊び・休息する権利を保障しよう

●個人の尊厳を大切にし、多様性を尊重する教育とジェンダー平等を実現する社会について考え合おう

●貧困・格差の拡大から子どもたちと教育を守るネットワークを地域から広げよう

●一方的な「教育DX」化などによる、国や財界の求める「人材」づくりや競争の教育ではなく、豊かな学力と人間性をはぐくみ、子どもを主権者として尊重する教育をすすめよう

●子ども、保護者、地域、そして教職員の声を無視した学校統廃合の押しつけを許さず、教育条件の改善を求め、地域からの共同を広げ、教育の自主性、教育行政の独立性を守るとりくみをすすめよう

●教職員の長時間過密労働を解消し、子どもの声を受けとめ、いかす学校づくり・教育課程づくりをすすめよう

●放射線被害から子どもたちを守り、原発をなくして安心して住み続けられる地域をつくりあげよう

●戦後・被爆80年、世界から核兵器と戦争をなくし、ゆるぎない平和な社会を子どもたちとともにつくろう

◆平和を守り真実をつらぬく民主教育の確立/教え子を再び戦場に送るな◆

 

 

討論のよびかけ

 

 

はじめに

 2024年12月、「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」がノーベル平和賞を受賞しました。被爆者の草の根運動の広がりと、被爆者の思いを引き継いだ市民・教職員の平和教育、子どもたちのとりくみが、約80年間核兵器が使われてこなかった大きな力となっています。高校生による「被爆者の思いを次の世代につなげて」いくとりくみが各地で行われています。2025年3月、広島や東京の高校生が核兵器禁止条約への署名、批准を政府に求める署名約2万2千筆を「たくさんの若者の活動にしっかり目を向けて」という思いとともに、外務省に提出しました。原水禁世界大会に参加し、反核平和のとりくみに参加する高校生・学生・青年など、豊かなとりくみが広がっています。

 2024年は日本が「子どもの権利条約」を批准してから30年の節目の年でした。そして今年度から 「こども基本法」が施行されました。第3条には「四 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先されて考慮されること」と記されています。「生徒の意見や考えを反映した学校づくりができる土壌をつくってほしい」と、校則のあり方について市議会に請願書を出した中学生のとりくみが報じられました。「子どもアンケート」を実施し続け、その結果から環境整備や予算増額を実現させたとりくみもあります。

 子どもを中心にした教育の実践を積極的に交流し、活発な討論を深めましょう。子どもと教育、学校、地域について大いに語り合いましょう。語り合い、学び合う、魅力にあふれた教育のつどいにしていきましょう。

 

 

子どもたちの「生きにくさ」と向き合い、子どもの声を聴くこと

 2020年2月下旬、全国の学校に対して一斉休校が「要請」されました。分散登校など、少人数での学びが再確認される機会を得ました。しかし、子どもたちや学校にとって最も大切な行事である卒業式・入学式や遠足・運動会などが制限されました。

 2024年10月、国立成育医療センターが公表した「10代のこどもたちとコロナを振りかえる」には、学校行事が復活したことがよかったという回答がある中、行事縮小を嘆く声もありました。一方で「学校の課題が多く、…」「黙食がまだ残っている」などの回答もあります。コロナ後の学校生活の変化に、子どもたちも戸惑いを隠せないでいます。

 文科省の統計によると、小中学校における不登校児童生徒数が34万人を超え、高校生の不登校生徒数とともに過去最多とりました。自殺・暴力行為・いじめ認知件数も増え続けています。学校が子どもの居場所になりきれておらず、子どもたちを追い詰めていく場所になっていることを示しています。その背景には、コロナ禍における様々な制限から生じる子どもたちへの影響も見過ごせません。さらに、コロナ以前から導入されている観点別評価や学力テストの悉皆調査など、子どもたちが常に評価され、競わされている現実があります。常に「いい子」を演じ、「用意された正解」を手際よく導き出すことが強要され、子どもたちがつまずいたりまちがえたりする余裕が切り取られています。

 ユニセフ「子どもの権利学校アンケート」の自由記述欄には「相談できる先生がいてほしい」「もっと子ども達の意見を聞いて」などの声が記されています。また、こども基本法の基本理念には「全ての事項に関して意見を表明する機会・多様な社会的活動に参画する機会が確保されること」が明記されています。学校、地域、保護者は子どもの声を聴き、それに寄り添うことが求められています。また、その声を学校づくりや地域づくりなどにつなげていくことが求められています。子どもたちを追い詰めている学校や社会を変えていく力をもつことができるよう、「教育のつどい」で大いに語り合い、学び合いましょう。

 

 

学習指導要領改訂の動きに対する批判を

 2025年12月25日、阿部文部科学大臣は、授業時数などを柔軟化する方向で、学習指導要領の全面改訂を中央教育審議会に諮問しました。中教審の教育課程部会企画特別部会では「柔軟な教育課程編成の促進」「不登校児童生徒への支援」「学びの主体的な調整」「デジタル学習基盤と『個に応じた指導』」などが論じられています。いずれも、「情報活用能力」に結び付いた探求的な学びやCOCOLOプランの導入及び普及、デジタル基盤で授業運営を効率化させるなどの施策を論じています。COCOLOプランは、不登校気味の子どもの早期発見を強調し、「チーム学校」で不登校の子どもを「学びにつなげる」事に重点が置かれています。しかし、子どもの声を聴き、子どもの立場に沿ったとりくみが軽視される危険性があります。中教審の審議を注視するとともに、子どもの気持ちにじっくりとよりそうとりくみの交流が求められています。

 コロナ禍による休校や授業カットに対応し、「学びを止めない」のスローガンのもと、全国の小中学生に「1人1台端末」(タブレット)を配る「GIGAスクール構想」を、学校や教職員、家庭や保護者の準備が整わないにもかかわらず、有無を言わせずにすすめました。その結果、タブレットの整備や不登校の生徒への対応についてのガイドラインの制定が間に合っていない現状や、児童・生徒同士のトラブルなども起きています。

 海外では、モバイルデバイスの、学校での使用禁止が広がっています。2023年9月にユネスコが発表した「2023年グローバル教育モニタリングレポート」には、「教育テクノロジーは、不適切または過度である場合には有害な影響を及ぼし得る」と指摘しています。偽情報がはびこるネット社会から子どもを守ること、子どもの個人情報の保護、なにより子どもの「〝からだと心”の権利」*1を優先させるとりくみが求められます。

 

 

教育への不当な介入を許さないとりくみを

4月1日、奈良県教育委員会、奈良教育大学附属小学校は、それぞれ人事異動を発表し、昨年度公立小学校へ強制出向をさせられた3名の教員と、学内の新設部署に事務職として配転させられた教頭、あわせて4名の原職復帰が明らかになりました。また、新たな出向者が出ないことも明らかになりました。これは、強制出向させられた3名の教員が原告となって裁判をたたかい続けてきたこと、奈良教育大教職員組合連合を中心として複数回の団体交渉を行ってきたことの成果です。しかし、不当な処分そのものは撤回されていません。加えて、教育課程の自主編成権への介入も撤回しておらず、問題は残されたままです。同様に、当初示されていた19人の教員を他校へ順次出向させる方針についても撤回をしていません。

 6月11日、新しい「日本学術会議法」が成立しました。新しい学術会議は国から独立した特殊法人になり、総理大臣が任命した監事が業務を監査します。学問の自由と中立性・独立性が奪われる危険性がぬぐえません。2004年の国立大学法人化以降、各大学の会議に外部委員が加わり、学長権限が強化される一方で教授会の力が制限されています。教育基本法16条「教育は、不当な支配に服することなく」に反する大きな教育問題です。こうした問題を絶対に許すことはできません。

 

 

教育条件の整備こそ最優先させるべき政策

長時間過密労働が教職員の心と体を蝕んでいます。精神疾患で休職した教職員が7千人を超え、過去最多となりました。2020年度から2023年度まで毎年600人以上増加しています。特に20代の増加が激しく、3年間で1.5倍以上になりました。教職員が健康で働き続けることが子どもたちの学習権の保障につながります。長時間過密労働の解消が強くもとめられています。

 長時間過密労働に歯止めをかけるためには、教職員の定数を大幅に増やすことや、少人数学級の実現など、教育条件を改善させることが急務です。しかし、給特法の改訂による教職調整額の引き上げと競争主義的な賃金体系で、教職員に一層過度な負担がかかる懸念があります。さらに主務教諭の創設で、賃金の階層構造化が教職員の共同を破壊し、教職員が分断され、特別支援教育の専門性の軽視ともいえる「給料の調整額」の半減も含め、教育そのものが破壊される恐れがあります。教育条件を改善させ、教職員がゆとりのある生活ができてはじめて、子どもたち一人ひとりに寄り添った教育実践が可能になります。

   今年度、高等学校等就学支援金の所得制限の一部が事実上撤廃されました。「お金の心配なく学びたい」など、多くの声を集めた運動の反映であり重要な意義をもつものです。ただし、年収910万円以上世帯の高校生には1年限りの「高校生等臨時支援金」であり、公立と私立の開始時期に差が生じています。授業料以外の学校納付金も高額で、保護者負担は依然として大きいままです。

 保護者や地域の幅広い運動により、各地で給食無償化の動きがすすんでいます。しかし、長引く物価高が子どもたちの教育と発育に必要な学校給食に危機をもたらしています。すべての児童が公平に食事をとれる環境、そして、学校給食法に定める教育としての学校給食を充実させ、豊かな食教育を通じた子どもの成長に、国や自治体が積極的に責任を果たすべきです。

 また、保護者、地域の合意のないままに学校の統廃合がすすめられています。少子化は小規模校・学級規模の縮小を実現させる大きな機会です。保護者・教職員・地域が共同し、教育環境を改善させるとりくみが求められます。

 

 

今も続く戦争 子どもや女性の被害・犠牲は増え続けている

 ロシアがウクライナに侵略してから3年半経過し、その危機は終わる見通しが立っていません。ウクライナの子どもたちは暴力やトラウマ、喪失感、破壊、避難などの苦しみに耐えています。1600超の教育施設が損壊し、約4割の子どもはオンラインや、対面と遠隔を組み合わせた授業で学んでいます。級友との交流や共同の学校生活を奪われ、10代の若者の3分の1が絶望感をかかえていると*2報じられています。

 また、2023年10月に始まったイスラエルによるガザ攻撃では、合計で5万人以上の子どもが死傷したと報じられています。子どもたちが未曾有の暴力や飢餓にさらされ、ユニセフの推計では、ガザ地区の子どもたちのほぼ全員に当たる110万人が、心のケアや心理的・社会的な支援を必要としています。イスラエルは2025年6月にイランを攻撃、イランの報復攻撃も開始され、犠牲者が増えていくことが懸念されます。

 もはや戦争はどこか遠い国や地域での出来事でなくなっています。2025年度の防衛予算が過去最大の8.7兆円になり、トランプ米大統領が日本に対してさらなる防衛費増額の圧力を高めることが不安視されています。日本が「戦争する国」へ突き進んでいることが誰の目にも明らかになっています。5月、自民党の西田参院議員から、「ひめゆりの塔展示は歴史の書き換え」という発言がありました。これまでの体験者の積み上げてきたものを否定し、「自分たちが納得できる歴史をつくるべき」という発言は断じて許されません。このような歴史修正主義の動きに抗議の声を上げるとともに、歴史の真実を追究する授業のとりくみを交流・発信していきましょう。

 防衛省から『まるわかり!日本の防衛 はじめての防衛白書2024』について福島県・長崎県などの小学校へ直接送付されることが明らかになりました。自衛隊の見学など各地で中止を求めるとりくみが行われています。「教育のつどい」は、はじめから一貫して「教え子を再び戦場に送るな」をテーマに開催されてきました。いまこそ、平和について声を上げて実践を交流し広げていくことが求められます。

 

 

相次ぐ自然災害と復興・原発問題

 能登半島地震から1年7カ月が経ち、仮設住宅の建設が完了したと報じられましたが、地震で全・半壊した家屋の公費解体について3月までに57%の完了となっています。阪神・淡路大震災から30年、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から14年を経ているのにもかかわらず、復旧・復興はなかなかすすんでいません。3月5日、最高裁の判決により東京電力旧経営陣の無罪が確定しました。あれだけの事故を起こして誰も責任を取ることなく、その一方で、会場整備費が2,350億円に上る大阪万博は開催されています。被災地の支援に予算を回すことを最優先にすべきです。

 石破首相は、2024年10月の所信表明演説で、就任前の原発利用をゼロに近づけるとした発言を変え、「原発の利活用促進」が明記されました。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働をめぐって、新潟県内の市民団体は再稼働の是非を問う県民投票の実施を目指して、14万筆を超える署名を県に提出しました。自民党などの反対多数で県民投票の条例案は否決されましたが、県民の声を無視して再稼働をすることのないような世論づくりがすすめられています。

 2024年8月に文科省は「放射線副読本」を改訂しました。そこには「ALPS処理水」の海洋放出に関する政府側の見解はあるものの、漁業従事者の反対意見や代替え案などの紹介などは記載されていません。原発について、子どもたちが多様な視点で議論することのできる副読本の内容に改善させるとりくみが重要です。

 

 

全国津々浦々で教育大運動のとりくみを

 子どもと教育をめぐる状況がかつてないほど厳しくなっている中で、声を上げなければ変えることができない情勢となっています。国や文科省の教育政策によって、教職員・保護者・地域が分断され、「教育改革」の名のもとで上意下達の指示・命令が次々に出され、その上、学校現場は長時間過密労働がまん延し、教職員が子どもたちの声を聴き、子どもたちに寄り添った教育を行うことを阻害しています。

 国連子どもの権利委員会から「過度に競争的な教育制度、および、それが子どもの身体的および精神的健康に与えている否定的な影響」を改善するよう何度も勧告されながら、日本政府は「(勧告に)拘束力はない」とまったく聞く耳をもちません。

 教室でも職員室でも地域でも家庭でも、必要なことは「つながること」です。分断・孤立化が厳しくなる中で、励まし合い支え合う共同のとりくみが強く求められています。行政や政治を変えるために、話し合いによって共同をつくり出す教育大運動が全国各地に広がり、思いや願いを語り合い、声を上げることで、国や文科省、自治体や教育委員会を動かしていくことができます。

 

 

「教育のつどい2025」で大事にしたいこと

教育のつどい2025の分科会にはおよそ260本のレポートが集まりました。2023年度から分科会の再編成がおこなわれ、教科別11、課題別7、合計18分科会の教育のつどいとなり、3年目を迎えました。再編し総合することで新たな課題にも対応できるようになりました。再編以前から積み上げてきた討論の到達点を確認し、教育のつどいを創り上げるようとりくみをすすめています。学生や高校生、青年教職員のみなさん、地域・保護者のみなさんに積極的に参加いただき、いっそうの広がりと深まりをつくっていきたいと考えています。

 分科会は、レポート発表と討論によって実践を深める教育研究の場です。同時に、参加者・司会者・共同研究者が語り合い、人間関係をつくり、励まし励まされ、その後の教育実践や子育てに勇気とヒントを得ることができる場です。参加者のみなさんにお願いしたいことは、みなさんの力で、参加者が温かい交流を深め、そうした関係を結べるようにしていただきたいということです。

 教育フォーラムは、教職員や保護者、子どもたち、研究者、教育関係者など、様々な立場の人が集まり、いまの教育課題をテーマに、率直に話し合うことができる場として、教育のつどいの中で大事にしてきたものです。今年も4つのテーマに現地企画を加え、6つのフォーラムが開会全体集会の後に行われます。ぜひ多くの方の参加を期待しています。

 教育のつどい2025は、一部をオンライン活用で開催します。いま、学校現場は夏休みであっても忙しく、全国の教職員・保護者・市民に知ってほしい素敵な実践を行っている教職員がいても、教育のつどいに参加する余裕がない実態があります。オンラインなら参加できるという方に対して様々な形での参加を考える上でも貴重な経験になるのではないでしょうか。

 教育のつどいに参加されているみなさん。3日間の討論・交流を通して、学校や家庭、地域に帰り、子どもと教育のために奮闘されることを心から願って討論のよびかけとします。  ともにがんばりましょう。

 

 

*1 野井真吾(2025)、「デジタル環境と子どもの〝からだと心″」、『人間と教育』、NO.126、P.52
*2 時事通信 外信部(2025年2月26日)、「子供たちの心むしばむ戦争 ユニセフ職員「支援の継続必要」―ウクライナ」、時事通信、https://www.jiji.com/jc/article?k=2025022500764&g=int

◆平和を守り真実をつらぬく民主教育の確立/教え子を再び戦場に送るな◆

 

 

討論のよびかけ

はじめに

 2024年12月、「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」がノーベル平和賞を受賞しました。被爆者の草の根運動の広がりと、被爆者の思いを引き継いだ市民・教職員の平和教育、子どもたちのとりくみが、約80年間核兵器が使われてこなかった大きな力となっています。高校生による「被爆者の思いを次の世代につなげて」いくとりくみが各地で行われています。2025年3月、広島や東京の高校生が核兵器禁止条約への署名、批准を政府に求める署名約2万2千筆を「たくさんの若者の活動にしっかり目を向けて」という思いとともに、外務省に提出しました。原水禁世界大会に参加し、反核平和のとりくみに参加する高校生・学生・青年など、豊かなとりくみが広がっています。

 2024年は日本が「子どもの権利条約」を批准してから30年の節目の年でした。そして今年度から 「こども基本法」が施行されました。第3条には「四 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先されて考慮されること」と記されています。「生徒の意見や考えを反映した学校づくりができる土壌をつくってほしい」と、校則のあり方について市議会に請願書を出した中学生のとりくみが報じられました。「子どもアンケート」を実施し続け、その結果から環境整備や予算増額を実現させたとりくみもあります。

 子どもを中心にした教育の実践を積極的に交流し、活発な討論を深めましょう。子どもと教育、学校、地域について大いに語り合いましょう。語り合い、学び合う、魅力にあふれた教育のつどいにしていきましょう。

 

 

子どもたちの「生きにくさ」と向き合い、子どもの声を聴くこと

 2020年2月下旬、全国の学校に対して一斉休校が「要請」されました。分散登校など、少人数での学びが再確認される機会を得ました。しかし、子どもたちや学校にとって最も大切な行事である卒業式・入学式や遠足・運動会などが制限されました。

 2024年10月、国立成育医療センターが公表した「10代のこどもたちとコロナを振りかえる」には、学校行事が復活したことがよかったという回答がある中、行事縮小を嘆く声もありました。一方で「学校の課題が多く、…」「黙食がまだ残っている」などの回答もあります。コロナ後の学校生活の変化に、子どもたちも戸惑いを隠せないでいます。

 文科省の統計によると、小中学校における不登校児童生徒数が34万人を超え、高校生の不登校生徒数とともに過去最多とりました。自殺・暴力行為・いじめ認知件数も増え続けています。学校が子どもの居場所になりきれておらず、子どもたちを追い詰めていく場所になっていることを示しています。その背景には、コロナ禍における様々な制限から生じる子どもたちへの影響も見過ごせません。さらに、コロナ以前から導入されている観点別評価や学力テストの悉皆調査など、子どもたちが常に評価され、競わされている現実があります。常に「いい子」を演じ、「用意された正解」を手際よく導き出すことが強要され、子どもたちがつまずいたりまちがえたりする余裕が切り取られています。

 ユニセフ「子どもの権利学校アンケート」の自由記述欄には「相談できる先生がいてほしい」「もっと子ども達の意見を聞いて」などの声が記されています。また、こども基本法の基本理念には「全ての事項に関して意見を表明する機会・多様な社会的活動に参画する機会が確保されること」が明記されています。学校、地域、保護者は子どもの声を聴き、それに寄り添うことが求められています。また、その声を学校づくりや地域づくりなどにつなげていくことが求められています。子どもたちを追い詰めている学校や社会を変えていく力をもつことができるよう、「教育のつどい」で大いに語り合い、学び合いましょう。

 

 

学習指導要領改訂の動きに対する批判を

 2025年12月25日、阿部文部科学大臣は、授業時数などを柔軟化する方向で、学習指導要領の全面改訂を中央教育審議会に諮問しました。中教審の教育課程部会企画特別部会では「柔軟な教育課程編成の促進」「不登校児童生徒への支援」「学びの主体的な調整」「デジタル学習基盤と『個に応じた指導』」などが論じられています。いずれも、「情報活用能力」に結び付いた探求的な学びやCOCOLOプランの導入及び普及、デジタル基盤で授業運営を効率化させるなどの施策を論じています。COCOLOプランは、不登校気味の子どもの早期発見を強調し、「チーム学校」で不登校の子どもを「学びにつなげる」事に重点が置かれています。しかし、子どもの声を聴き、子どもの立場に沿ったとりくみが軽視される危険性があります。中教審の審議を注視するとともに、子どもの気持ちにじっくりとよりそうとりくみの交流が求められています。

 コロナ禍による休校や授業カットに対応し、「学びを止めない」のスローガンのもと、全国の小中学生に「1人1台端末」(タブレット)を配る「GIGAスクール構想」を、学校や教職員、家庭や保護者の準備が整わないにもかかわらず、有無を言わせずにすすめました。その結果、タブレットの整備や不登校の生徒への対応についてのガイドラインの制定が間に合っていない現状や、児童・生徒同士のトラブルなども起きています。

 海外では、モバイルデバイスの、学校での使用禁止が広がっています。2023年9月にユネスコが発表した「2023年グローバル教育モニタリングレポート」には、「教育テクノロジーは、不適切または過度である場合には有害な影響を及ぼし得る」と指摘しています。偽情報がはびこるネット社会から子どもを守ること、子どもの個人情報の保護、なにより子どもの「〝からだと心”の権利」*1を優先させるとりくみが求められます。

 

 

教育への不当な介入を許さないとりくみを

4月1日、奈良県教育委員会、奈良教育大学附属小学校は、それぞれ人事異動を発表し、昨年度公立小学校へ強制出向をさせられた3名の教員と、学内の新設部署に事務職として配転させられた教頭、あわせて4名の原職復帰が明らかになりました。また、新たな出向者が出ないことも明らかになりました。これは、強制出向させられた3名の教員が原告となって裁判をたたかい続けてきたこと、奈良教育大教職員組合連合を中心として複数回の団体交渉を行ってきたことの成果です。しかし、不当な処分そのものは撤回されていません。加えて、教育課程の自主編成権への介入も撤回しておらず、問題は残されたままです。同様に、当初示されていた19人の教員を他校へ順次出向させる方針についても撤回をしていません。

 6月11日、新しい「日本学術会議法」が成立しました。新しい学術会議は国から独立した特殊法人になり、総理大臣が任命した監事が業務を監査します。学問の自由と中立性・独立性が奪われる危険性がぬぐえません。2004年の国立大学法人化以降、各大学の会議に外部委員が加わり、学長権限が強化される一方で教授会の力が制限されています。教育基本法16条「教育は、不当な支配に服することなく」に反する大きな教育問題です。こうした問題を絶対に許すことはできません。

 

 

教育条件の整備こそ最優先させるべき政策

長時間過密労働が教職員の心と体を蝕んでいます。精神疾患で休職した教職員が7千人を超え、過去最多となりました。2020年度から2023年度まで毎年600人以上増加しています。特に20代の増加が激しく、3年間で1.5倍以上になりました。教職員が健康で働き続けることが子どもたちの学習権の保障につながります。長時間過密労働の解消が強くもとめられています。

 長時間過密労働に歯止めをかけるためには、教職員の定数を大幅に増やすことや、少人数学級の実現など、教育条件を改善させることが急務です。しかし、給特法の改訂による教職調整額の引き上げと競争主義的な賃金体系で、教職員に一層過度な負担がかかる懸念があります。さらに主務教諭の創設で、賃金の階層構造化が教職員の共同を破壊し、教職員が分断され、特別支援教育の専門性の軽視ともいえる「給料の調整額」の半減も含め、教育そのものが破壊される恐れがあります。教育条件を改善させ、教職員がゆとりのある生活ができてはじめて、子どもたち一人ひとりに寄り添った教育実践が可能になります。

   今年度、高等学校等就学支援金の所得制限の一部が事実上撤廃されました。「お金の心配なく学びたい」など、多くの声を集めた運動の反映であり重要な意義をもつものです。ただし、年収910万円以上世帯の高校生には1年限りの「高校生等臨時支援金」であり、公立と私立の開始時期に差が生じています。授業料以外の学校納付金も高額で、保護者負担は依然として大きいままです。

 保護者や地域の幅広い運動により、各地で給食無償化の動きがすすんでいます。しかし、長引く物価高が子どもたちの教育と発育に必要な学校給食に危機をもたらしています。すべての児童が公平に食事をとれる環境、そして、学校給食法に定める教育としての学校給食を充実させ、豊かな食教育を通じた子どもの成長に、国や自治体が積極的に責任を果たすべきです。

 また、保護者、地域の合意のないままに学校の統廃合がすすめられています。少子化は小規模校・学級規模の縮小を実現させる大きな機会です。保護者・教職員・地域が共同し、教育環境を改善させるとりくみが求められます。

 

 

今も続く戦争 子どもや女性の被害・犠牲は増え続けている

 ロシアがウクライナに侵略してから3年半経過し、その危機は終わる見通しが立っていません。ウクライナの子どもたちは暴力やトラウマ、喪失感、破壊、避難などの苦しみに耐えています。1600超の教育施設が損壊し、約4割の子どもはオンラインや、対面と遠隔を組み合わせた授業で学んでいます。級友との交流や共同の学校生活を奪われ、10代の若者の3分の1が絶望感をかかえていると*2報じられています。

 また、2023年10月に始まったイスラエルによるガザ攻撃では、合計で5万人以上の子どもが死傷したと報じられています。子どもたちが未曾有の暴力や飢餓にさらされ、ユニセフの推計では、ガザ地区の子どもたちのほぼ全員に当たる110万人が、心のケアや心理的・社会的な支援を必要としています。イスラエルは2025年6月にイランを攻撃、イランの報復攻撃も開始され、犠牲者が増えていくことが懸念されます。

 もはや戦争はどこか遠い国や地域での出来事でなくなっています。2025年度の防衛予算が過去最大の8.7兆円になり、トランプ米大統領が日本に対してさらなる防衛費増額の圧力を高めることが不安視されています。日本が「戦争する国」へ突き進んでいることが誰の目にも明らかになっています。5月、自民党の西田参院議員から、「ひめゆりの塔展示は歴史の書き換え」という発言がありました。これまでの体験者の積み上げてきたものを否定し、「自分たちが納得できる歴史をつくるべき」という発言は断じて許されません。このような歴史修正主義の動きに抗議の声を上げるとともに、歴史の真実を追究する授業のとりくみを交流・発信していきましょう。

 防衛省から『まるわかり!日本の防衛 はじめての防衛白書2024』について福島県・長崎県などの小学校へ直接送付されることが明らかになりました。自衛隊の見学など各地で中止を求めるとりくみが行われています。「教育のつどい」は、はじめから一貫して「教え子を再び戦場に送るな」をテーマに開催されてきました。いまこそ、平和について声を上げて実践を交流し広げていくことが求められます。

 

 

相次ぐ自然災害と復興・原発問題

 能登半島地震から1年7カ月が経ち、仮設住宅の建設が完了したと報じられましたが、地震で全・半壊した家屋の公費解体について3月までに57%の完了となっています。阪神・淡路大震災から30年、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から14年を経ているのにもかかわらず、復旧・復興はなかなかすすんでいません。3月5日、最高裁の判決により東京電力旧経営陣の無罪が確定しました。あれだけの事故を起こして誰も責任を取ることなく、その一方で、会場整備費が2,350億円に上る大阪万博は開催されています。被災地の支援に予算を回すことを最優先にすべきです。

 石破首相は、2024年10月の所信表明演説で、就任前の原発利用をゼロに近づけるとした発言を変え、「原発の利活用促進」が明記されました。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働をめぐって、新潟県内の市民団体は再稼働の是非を問う県民投票の実施を目指して、14万筆を超える署名を県に提出しました。自民党などの反対多数で県民投票の条例案は否決されましたが、県民の声を無視して再稼働をすることのないような世論づくりがすすめられています。

 2024年8月に文科省は「放射線副読本」を改訂しました。そこには「ALPS処理水」の海洋放出に関する政府側の見解はあるものの、漁業従事者の反対意見や代替え案などの紹介などは記載されていません。原発について、子どもたちが多様な視点で議論することのできる副読本の内容に改善させるとりくみが重要です。

 

 

全国津々浦々で教育大運動のとりくみを

 子どもと教育をめぐる状況がかつてないほど厳しくなっている中で、声を上げなければ変えることができない情勢となっています。国や文科省の教育政策によって、教職員・保護者・地域が分断され、「教育改革」の名のもとで上意下達の指示・命令が次々に出され、その上、学校現場は長時間過密労働がまん延し、教職員が子どもたちの声を聴き、子どもたちに寄り添った教育を行うことを阻害しています。

 国連子どもの権利委員会から「過度に競争的な教育制度、および、それが子どもの身体的および精神的健康に与えている否定的な影響」を改善するよう何度も勧告されながら、日本政府は「(勧告に)拘束力はない」とまったく聞く耳をもちません。

 教室でも職員室でも地域でも家庭でも、必要なことは「つながること」です。分断・孤立化が厳しくなる中で、励まし合い支え合う共同のとりくみが強く求められています。行政や政治を変えるために、話し合いによって共同をつくり出す教育大運動が全国各地に広がり、思いや願いを語り合い、声を上げることで、国や文科省、自治体や教育委員会を動かしていくことができます。

 

 

「教育のつどい2025」で大事にしたいこと

教育のつどい2025の分科会にはおよそ260本のレポートが集まりました。2023年度から分科会の再編成がおこなわれ、教科別11、課題別7、合計18分科会の教育のつどいとなり、3年目を迎えました。再編し総合することで新たな課題にも対応できるようになりました。再編以前から積み上げてきた討論の到達点を確認し、教育のつどいを創り上げるようとりくみをすすめています。学生や高校生、青年教職員のみなさん、地域・保護者のみなさんに積極的に参加いただき、いっそうの広がりと深まりをつくっていきたいと考えています。

 分科会は、レポート発表と討論によって実践を深める教育研究の場です。同時に、参加者・司会者・共同研究者が語り合い、人間関係をつくり、励まし励まされ、その後の教育実践や子育てに勇気とヒントを得ることができる場です。参加者のみなさんにお願いしたいことは、みなさんの力で、参加者が温かい交流を深め、そうした関係を結べるようにしていただきたいということです。

 教育フォーラムは、教職員や保護者、子どもたち、研究者、教育関係者など、様々な立場の人が集まり、いまの教育課題をテーマに、率直に話し合うことができる場として、教育のつどいの中で大事にしてきたものです。今年も4つのテーマに現地企画を加え、6つのフォーラムが開会全体集会の後に行われます。ぜひ多くの方の参加を期待しています。

 教育のつどい2025は、一部をオンライン活用で開催します。いま、学校現場は夏休みであっても忙しく、全国の教職員・保護者・市民に知ってほしい素敵な実践を行っている教職員がいても、教育のつどいに参加する余裕がない実態があります。オンラインなら参加できるという方に対して様々な形での参加を考える上でも貴重な経験になるのではないでしょうか。

 教育のつどいに参加されているみなさん。3日間の討論・交流を通して、学校や家庭、地域に帰り、子どもと教育のために奮闘されることを心から願って討論のよびかけとします。  ともにがんばりましょう。

 

 

*1 野井真吾(2025)、「デジタル環境と子どもの〝からだと心″」、『人間と教育』、NO.126、P.52
*2 時事通信 外信部(2025年2月26日)、「子供たちの心むしばむ戦争 ユニセフ職員「支援の継続必要」―ウクライナ」、時事通信、https://www.jiji.com/jc/article?k=2025022500764&g=int