みんなで21世紀の未来をひらく 教育のつどい 教育研究全国集会

ダイジェストDigest

G分科会 青年期の学びと大学づくり

「学問の自由」の危機、「自治の崩壊」から「自治の発揮」へ

 参加者の自己紹介の後、共同研究者光本さんより分科会の歴史・趣旨説明とともに基調報告が行われました。「大学改革」「日本学術会議」「大学再編」等、政府が介入し、学問の自由を脅かす施策が現場にどう影響を与えているか、大学・高校の教育問題として考えてゆくことが大切であることが報告されました。

 全国大学高専教職員組合からは、「大学自治の現在」について報告しました。国立大学法人化以降、学問の自由の枠組みが外され、助成金により大学が左右されている現状、大学改革が大学自治の破壊を助長していることが報告されました。討論では、6割の私立大学が定員割れであること、私立大学の公立化や助成金カットによる私立大学の淘汰という私立大学の現状も報告されました。

 富山の報告(高)は、富山県における高校再編計画について報告しました。2038年に向け34校ある高校を20~22校に再編する案が出てきたことが報告されました。1学年800名規模の大規模校を作ること、教育内容の再編も含まれ、すべてがトップダウンで議論なく進んでいることが示されました。通学の問題など、県民不在の高校再編計画であり、不安が広がっている現状が報告されました。

 もう1つの富山の報告(高)は、教員の経験から、「入試制度と進路保障についての雑感」について報告しました。進学校における入試に対応した偏差値至上主義、キャリア教育を進める地元定着を掲げる学校の経験から、「不易」と「流行」をキーワードに教育が語られました。討論では、まっとうな高校教育、総合型入試等の入試制度についても議論されました。

 愛知の報告(高)は、今年度から始まった「フレキシブルハイスクール」について報告しました。転籍可能とし学び続けることができる学校として、全日制普通科を単位制に改変し、昼間定時制、通信制を設置する学校が4校つくられたことが報告されました。現実は、通信制、定時制の生徒の目線ではなく、転籍も不可能に近い。すべてが現場に丸投げの施策であり、今後も注視が必要であることが示されました。

 岐阜の報告(高)は、コロナ禍により不登校生徒が増加し、通信制の高校に通う生徒が増加している現状とともに、通信制高校の意義を報告しました。また、通信制の高校の中には教材は1社選択、3日間のスクーリングで卒業可能な学校もあり、通信制の意義から充分な学びの保障なしに卒業することがよいのかと疑問を投げかけました。

 青森・八戸工大の報告は、「マダラ」の解剖と創作料理を題材にした「総合的な学習(探求)の時間の指導法」の実践を報告しました。地産地消、地域にかかわること、楽しい学び、グループで成し遂げる達成感などを目標にした実践が報告されました。討論では、授業としての実践、生徒の立場、教員の立場両方の観点が大切なことも示されました。

 もう1つの愛知の報告(高)は、昨年度途中から始まった都市部での連携型中高一貫校の実態を報告しました。地域の人材育成ということで近隣6校、中学生3000名との連携が、十分な議論もなく始められ、中学3年間で4回、生徒が中学校に出向き説明をするだけの連携授業が行われていることが報告されました。生徒による連携授業、成果も何もない状態で、「特別な入試」が行われることには公立高校の「入試の公平性」の観点から疑問が示されました。

 総合討論では、「大学の自治」「高校再編」等について議論が行われました。「大学・高校改革」は青年期の学びを置き去りにした改革であり、その根底には「自治の崩壊」があること、これに対抗するためには「自治の発揮」しかないこと、自治の経験や意識がない人が多くなり、自治の担い手がいなくなっていること、「自治の発揮」のためには自分のこと、自分たちのことを自分で決めることの積み上げが必要であることが示されました。

 1日目22名、2日目15名 延べ37名の参加、活発な討論が行われ、大学と高校、参加者同士の交流ができたことを成果として分科会は閉会となりました。