ダイジェストDigest
F分科会 障害児教育 障害のある子どもを主体にした教育の創造
F障害児教育分科会では「発達・学習権保障の道を力強く進もう!障害のある子どもを主体にした教育の創造」をテーマに、32本のレポートをもとに全国各地の実践を交流し、討論を深めました。
1日目午前は開会全体会で基調報告、特別報告、全体討論が行われました。基調報告では越野和之さん(共同研究者)が、戦後80年、障害者自立支援法成立20年という節目の年にあたり、旧優生保護法判決や福祉制度の家族依存、特別支援教育の条件不備などを示しながら、「権利としての障害児教育」の確認が必要だと語りました。また討論の柱として「教育の名による権利侵害の見直し」「国連勧告に応える質の高いインクルーシブ教育の実践と運動」「特別な教育の場の意義の再評価」が呼びかけられました。
続いて三木裕和さん(共同研究者)が旧優生保護法裁判について報告しました。「優生思想」が国家権力と結びつき、地方自治体や医療・福祉、学校教育が荷担していた戦後最大規模の人権侵害と裁判判決について説明しました。全体討論では、教育委員会や管理職、学習指導要領などから受ける「圧」の辛さが共有され、この言葉は小分科会でも共通のキーワードとなりました。
1日目午後と2日目午前は6つの小分科会に分かれてレポート討論を行ないました。子ども期・思春期の教育分科会では、子どもが行動を通じて学び成長する過程を尊重する姿勢や、失敗や衝突を経験しながら自ら気づくことの大切さが語られました。安心できる学級環境の構築が基盤となり、教員の専門性を生かした活動や教材 研究を通じて子どもの興味を引き出し、学びの楽しさを広げる取り組みの重要性が強調されました。
子ども期の教育分科会は2つに分かれて行いました。様々な困難や行動特性のある子どもに丁寧に寄り添い、興味や文化体験を通して成長を支える実践、安心して自己表現できる場づくりの重要性が語られました。若手教師の挑戦や支援体制の大切さ、通級指導での子どもの声を丁寧に聞き取る姿勢、発達課題と教科学習を結ぶ授業、管理的な校則下での実践など、多様な報告を通じ、特別支援教育が学校文化を豊かにし、子どもの成長を支える役割を果たす重要性が再確認されました。
思春期の教育の分科会では、心と体がホルモンの働きで大きく変わる「自分くずし・自分作り」の大切な時期に、発達の遅れ・もつれ、さらに複雑な家族の中での愛着の課題やいじめのトラウマも重なりながら、もう一度自分を見つめながら崩して作り直そうという、今のこの社会の中で課題を抱えている子供達の姿と、そこに寄り添う先生たちを実践の記録から学びました。
青年期の教育の分科会では知的障害の特別支援学校高等部からのレポートでした。3年計画で性教育に積極的かつ果敢に取り組んだ報告や、国数の授業に取り組みながらカリキュラム全体を問い直す実践、生徒たち自身が話し合い学び合いながら作った「すごろく」の報告などがあり、生徒の内面に寄り添い、楽しみながら学びに向かえる取り組みについて議論されました。
寄宿舎・権利保障の分科会では、ADHDの特性が強いために寄宿舎にいられなくなってしまった生徒についての報告や、入院中であるために「高等部への進学はできない」と言われた件に対しての運動などについて語られました。結論が出ないケースもありましたが、教育条件整備のために関係者で手を取り合って運動していくことの重要性を再確認しました。
2日目午後の閉会全体会では三木裕和さんがまとめとして、ICTやAIの教育利用の慎重な検討、子どもの悩みや仲間との関わりを通じた学びの重要性、教育現場の環境悪化や人員不足、特別支援学校の手狭さなどの深刻な状況が共有されたことを確認しました。また学習指導要領の法的拘束力や権威主義的運用への批判も提示され、2日間の対話を通して共感と学びが深められました。