みんなで21世紀の未来をひらく 教育のつどい 教育研究全国集会

ダイジェストDigest

Ⅽ分科会「主権者教育と生活指導・自治活動」

子どもの声を聴き、子ども同士をつなげ、社会を変革する主体に

 Ⅽ分科会では、①全体会(基調報告とメインレポート)②3つの分散会という構成で討議を行いました。レポートは小学校9本、中学校5本、高校8本の計22本が報告されました。

 1日目の全体会では、共同研究者の鎌倉さんから、子ども・青年をめぐる社会状況の変遷、「子どもの最善の利益」のための学校づくり・教育実践、主権者としての学びと成長―社会変革のための主体性・協働性―、および、教育の自由の保障と拡大の4つを柱に基調報告が行われました。そのなかで、分科会の名称について、一昨年度から「主権者の教育」が加わり、「自治的活動」が「自治活動」に変わったことの意義が、改めて説明されました。そこにはこの分科会の目的が示されていると受けとめることができます。すなわち、自身の生きる社会を自身の手で制作したり再構成したりする、感覚や能力をいかにして子どもたちに育てるかということです。

 

 メインレポートして大阪の報告(高)「生徒たちと社会を生きるために」を取り上げました。報告者は教員5年目。今回の報告は、生徒総会にクラスの要求を提出するに際しての発言文書作成をめぐるものでした。
 議案書討議では生徒会役員が自分たちの生活や望む社会について書いた議案書を読んでクラスで話し合い要求を出します。今回は髪染め禁止の校則改正を要求しました。しかしこの発言文書の内容が興味深いものです。要求にいたる経緯が生活綴方のように書かれているからです。発言文書では中学校では勉強が苦手、質問をすると邪魔になると思いできなかった。障害がある生徒へのいじめを教師が無視していた。校則が厳しく生徒のためであるより地域の目を気にしてのものであるように思えた。しかしこの高校は違った。どんな子でも受け入れてくれる優しい空間だから安心して過ごせる。生徒を信じてくれる。勉強をやり直せ、良い成績をとり、親にも驚かれた。先生は悩みごとを気軽に聞いてくれると綴りました。そして、その上で、意味のわからない校則がある、それを改正してほしいと求めました。

 

 その後3つの分散会に分かれました。各分散会で議論された内容を3つのテーマに整理し、エピソードを拾いながら見ていきます。

 

①子どもの声にならない声を聴く
 学習の困難を抱え、立ち歩きや授業妨害が目立った子どもに対してまず話を聴き、事実確認をして、プラスの意味づけをした(小)。班長会では「何でアイツがこうなっていると思う?」と互いの思いや背景を考えるように声かけをした(小)。進路指導室がスーパーのサービスカウンターのようになってトランスジェンダー、外国籍、やんちゃグループたちが雑談や相談に来る(高)。子どもの気持ちを読み取り、それを意見表明につなげてきた(アドボカシー)(小)。教師の働きかけが空回りしたときに、生徒たちの声を聴くことの大切さに気づいた(中)。授業通信で生徒が寄せる声に教師がコメントしクラス全体で共有している(高)。

 

②聞き取った声を子ども同士のコミュニケーションにつなげる
 学級通信にQRコードをつけてロイロノート経由で児童に記事を書いてもらっている(小)。列ごとに日記の宿題を出し、それらをクラスに紹介してきた(小)。課題のある生徒を体育祭や合唱コンクールに巻き込んだ。教師の反発もあったが排除しない姿勢を生徒は見ていると思う(中)。問題行動を繰り返す生徒に対して人として大事にすること「あなたもクラスの一員だよ」の姿勢を貫いた(中)。特性のある子は急に変われない、その子に応じた関わりを作っている(小)。教室内に秘密基地を作りそこから特性のある子の居場所を作った(小)。図書室を子どもの居場所に位置づけている(小司書)。「〜しろよ」と言っていた子どもが他の子どもの子の声に出会わせることで「〜してや」に変わった。

 

③学校自治や社会に参加し自分たちの手で社会を変えていく
 子ども同士のコミュニケーションは、学校自治や社会参加、社会変革につながるでしょう。
 夜間定時制の文化祭が夜に行われることを利用して、不器用な生徒でも取り組みやすい工夫でイルミネーションを作った(高)。コロナ禍で行事づくりの経験が途切れたが生徒主体で行事をつくれるようになった(高)。校則改正に取り組んだが、じっくり生徒と協議する場を設けたいと思っている(高)。生徒の意見を反映した校則改正を実現させた(中)。生徒の意見を大切にして磯探検、磯遊びのパンフレットをつくり、海をキレイにするために植林に挑戦している(高校)。原爆パネルに興味をもった一人の生徒の呼びかけから全校に折り鶴を折る取り組みを広げていった。その際、教師が押し付けるのではなく、教師自身が本物の社会参加の主体であることを示した(高)。