ダイジェストDigest
B分科会 発達・学力、教育課程づくり
『学びの要求や課題に応答する教育実践をどう継承・発展させていくか。全体会と2つの分散会で多面的に考える』
全体会基調報告では、学習指導要領改訂の動きが始まり、「学習の基盤」にデジタルを埋め込む議論や観点別評価の調整案が出される中、子どもたちが新しい知識等を身につける過程こそ大切にすべきことが示され、報告される教育実践を手がかりに、学力、教育課程、評価を展望することが確認されました。
出版労連の報告は、教科書検定・価格・デジタル教科書の問題の実態を示し、現場の教育課程とも関わる貴重な報告となりました。北海道の報告(小)は、特別支援学級の児童が「つながり」の中で成長していく実践で、教師が子どもの願いに気づき引き出し、子ども同士、教師共に伸びを喜ぶ温かい関わりの様子が報告されました。大阪の報告(中)は、学力や情緒に課題のある生徒の多い実態から教育課程づくりを出発させ、演劇を通し、子どもの背景に寄り添いながら新たな集団の段階を見据えて取り組んだ、貴重な3年間の報告でした。全体会のまとめでは、教育行政の課題、子どもの実態、つながりの重視を、という確認がされました。
[A分散会]基調提案では、地域を学びのフィールドにし、子どもの生活の中から学びを立ち上げ、仲間とともに学びを創り出すことができる「生活科・総合学習」の魅力と必要性が語られました。
過疎地域の小中一貫校で、地域に根差した「9年間の教育課程」をつくりあげ、また廃校に「地域学習の資料室」をつくった報告は、地域に学校を開き、地域や世界の風を呼び込む新しい提案でした。校区が原爆投下予定地であったという事実から平和学習にとりくんだ実践からは、発信を校内から学校外へと広げることで、さらに価値ある学習になることを学びました。「昔の校舎」の写真から、地域の昔を深堀していった報告は、子どもたちにとって「ワクワクする謎解き」で、誰にでも取り組める実践として提起されました。町探検の報告は、子どもたちの関心から出発し体験を重ねる中で、子どもたちの思考が豊かになり、身近な環境を自分事としてとらえていく子どもたちの育ちを感じることができました。国語「たんぽぽのちえ」からタネの学習に発展した報告からは、小さなタネに無限の学習課題が詰まっていることに気づかされました。コメ作りから販売・おにぎりづくり、おべんとうづくりへと発展していく過程で、不登校の子や学習意欲のない子が意欲的に活動しだす報告は、まさに「生きる力」の創造でした。同じくコメ作りから出発した実践では、コメの販売価格の設定を生産者と消費者の双方の立場から深堀することにより、学習が深まっていく可能性を学びました。
[B分散会]では、まず「ICT活用と子どもの発達」と言う柱で、工業高校の実態と学力が困難な中で小中学校に戻って算数・数学の基礎学力を取り戻す実践が紹介されました。またタブレットが一人一配布された中で小学校ではタブレット依存に振り回されたり、バージョンアップのために時間が取られたりしている弊害が報告されました。高校ではタブレットで時間短縮を図り、生徒のコミュニケーションを促す中で英語嫌いの克服を目指す実践が報告されました。次に「学力評価と教育課程」と言う柱では、絶対評価と言われつつ、高校入試の段階で相対評価にしなければならない重圧の中、教師は悩み生徒は苦しんでいる実態が報告されました。一方観点別評価が導入された高校では、生徒は「どこがダメか(どこが足りなかったか)をもっと知りたいしもっと言ってほしい」と要求しているのに、この評価ではそれに応えられないという実感のもと、管理職の許容範囲ギリギリでシラバスを作成して対応していると報告されました。いずれにしても観点別評価が教育現場を本来の学力人格形成の場でなくしてしまっている深刻な現状の報告でした。最後の報告は長年民間教育運動に学び、子どもを出発にした授業実践をしてきたが、それを現代にうまく引き継げないか、という問いかけを含む報告がなされました。学校現場に若者が増えている中これは喫緊の課題です。
[総括討論]A分散会からは地域に根ざして平和学習を進めた実践、同様に地域をベースにした体験的な学び、地域の農業とつながる実践など「地域ぐるみ」の実践の良さが、B分散会からはICTを教育の中でどう位置づければ良いのか考えていく必要が課題として出されました。また観点別評価が子どもを励まし、教師の教育実践を高めることにつながっていないという深刻な実態にどう対応していけば良いのかという課題が提起されました。それぞれの報告のあと、「平和教育への攻撃が進む中、加害を扱う困難さをどう克服するか」について多くの発言があり、資料館から加害の資料が外されたり発達段階で難しい側面もあるが、私たちの生活の中に学習素材はたくさんあり、それをきっかけに子どもたちと学びだすことができることを確認しました。
最後に、「学習指導要領改訂にあたり一番問題なのは、1958年版以来教育課程が現場にあるのかということ。これ以来、さまざまな支配の根拠となり、学校の教育課程が見えなくなっている。それを取り戻すことで、子どもたちを守ろう。」と共同研究者から呼びかけられました。