みんなで21世紀の未来をひらく 教育のつどい 教育研究全国集会

ダイジェストDigest

D分科会 子ども・青年たちの生きたい社会づくり~平和・環境・ジェンダー平等と性を手がかりとして~

教員になって、授業で・実践で「新しいものが作れる喜びを」自覚しよう!

 分科会名の通り「生きたい社会」を作るためには、多くの課題があります。今年も、その多様なテーマ(平和、環境、ジェンダー・性教育など)から24本のレポートが提出され、熱心な討議が繰り広げられました。
 どのレポートも、全員に聞いてもらいたい内容でしたが、時間の関係でそれは出来ません。そこで、全体会で各テーマを代表する5本のレポート発表と討論、残り19本のレポートを三つの分散会で発表と討論、最後に全体会を開いて総括をするという形を取りました。

 全体会のレポート報告の一つ目は、教科書問題。出版労連のレポートでした。教科書検定の問題は従来から指摘されてきましたが、今回のレポートは、教科書価格が適正ではないこと=あまりにも低く抑えられていることが切り口でした。デジタル教科書も含めて、経費的(経営的)に作ることが出来なくなりつつある現状から、採択数を増やすことよりも、教科書作りから撤退する現状があることが報告されています。取り扱い書店も減っている中で、「教科書の危機」が進行している事を学びました。
 二つ目は、3・11福島原発事故とその後の対応に関する授業を学校で組み立てようとしている、福島のレポート(高)でした。コミュニティの復興が今回のレポートのテーマでした。まだまだ復興には解決されていない問題が多いことと、それをどう授業で教え、継承していくのか、大きな課題です。
 三つ目は、ろう学校の中で平和学習にとりくんだ、和歌山のレポート(特支・中)でした。地域の教材を掘り起こしながら、障がい者にとっての戦争を考える内容でした。生徒の感想の中に、「(戦争に行かないと)差別されるから、自分も戦争に行く」というとても重いものがあり、どう考えて行けば良いのか、議論になりました。
 四つ目は、分科会会場にもなった自由の森学園のESD(Education for Sustainable Development  持続可能な開発のための教育)とそれを実践する「環境学」(選択授業)についての報告(高)でした。周りの自然環境を出発点に学校として出来ることを考え実践し、授業の中でも扱っていく姿勢には学ぶものが多い報告でした。
 五つ目は、朗読劇をしながら平和を考え、韓国の高校生などとも交流してきた、埼玉県のレポート(特支・高)でした。学びと交流の広がりは、素晴らしい実践でした。
 その後、三つの分散会に分かれ、それぞれ本分科会のテーマに沿ったレポート報告と討論が行われました。煮干しの中からマイクロプラスチックを見つけ出して考える授業、放送部という部活動を通しての平和を考える実践、市全体の養護教諭が協力して小学校6年間を通じた性教育のカリキュラムを創り上げていこうとしている実践など、多様で貴重なレポートが報告されました。(全部にふれることが出来ないのが残念です。)

 

 そして、二日目の最終には、総括の全体会が行われました。
 授業などで扱われる課題(平和、環境維持、ジェンダー平等、性の多様性)を、いかに自分事としてとらえ、考えていける子どもたちを育てていくのかは、大きな課題です。憲法を基礎に、自分の人権の保障として、また回りの人びとの人権の保障として、考え取り組んでいける「主権者」を育てていくために、まだまだ学び合い、工夫して取り組んでいかねばならないと思います。
 総括の全体会の中で、次のような趣旨の発言が、参加していた大学院生からありました。「自分は、(決まり切ったことを教えるような教育が実践される中で)先生が嫌い・子どもが嫌いだった。しかし、(自由な発想で目の前の子どもたちにあう押しつけではない教育を努力している)分科会での発表を聞いて、教師も頑張ることが出来るんだ・教育はいいものだという思いになりました。そんな先生になりたいと思いました。」会場は、大きな拍手と感動に包まれました。
 分科会の最後には、それを受けて、「教員になって、新しいもの(授業や実践)を工夫しながら作っていこう。それが出来る喜びを大切にしていこう」というまとめが行われました。今回の分科会で学び合ったものを、明日からの実践に生かし、次年度以降また持ち寄って学び合おうと決意を固め合った分科会となりました。