みんなで21世紀の未来をひらく 教育のつどい 教育研究全国集会

ダイジェストDigest

⑧書写・書教育 「ふと立ち寄った美術館でいい作品に出会ったような分科会」

 参加者は小学校2名、司会者2名、共同研究者2名。これに会場係のお二人(小、中)も加わり、少人数ながらも深く豊かな討論ができました。

 高知の報告(小)は、低学年で水筆を使用した実践を報告。硬筆のはねや払いの感覚をつかませるための水筆の使用ということで、どうすればうまく線が引けるかを子どもたち同士で教え合う姿も見られましたが、筆の弾力を調節して、はねや払いを行うのは大人でも大変難しく、それを低学年の子どもにさせることに矛盾を感じます。毛筆への興味づけという押さえ方でよいのではないかという議論に落ち着きました。

 青森の報告(小)は、学習指導要領を精査して問題点を明らかにした上で、それに縛られない楽しい書写、しかも子どもたちが自律的に進める書写の授業を展開した報告でした。会場に広げられた長さ10mほどの長い紙に書かれた共同制作は、子どもたちが一生懸命に、しかも心から楽しんで描いた絵や書に彩られていて圧巻でした。

 北海道の報告(小、元高)は、小学校への書の出前授業を報告。氏考案の「くーるくーる体操」「鳩ポッポ体操」と呼ばれる体操で体と心をときほぐし、「トン、スー、ピタッ、フワッ」などの掛け声による一斉指導で、リズムに乗って気持ちよく運筆させる授業や、段階を踏んだ技術習得の方法などを紹介。参加者一同も実際に体操や模擬授業を体験し、その効果を実感しました。

 滋賀の報告(高)は、これまで創作指導、特に初期指導について大事にしてきた事柄を整理する形で報告。実際の作品を示しながら、具体的な説明により参加者の共感を呼びました。

 北海道の報告(高)は、自身の闘病体験を経て、職場環境や同僚性、書教育の意義や使命を鋭く考察した上で、自分流の生徒との率直で温かいかかわり方や書教育実践を貫いた、元気をもらえる報告でした。

 滋賀の報告(高)は、確固とした創作指導の理念と独自のスタイルを持ち、内容を精選した実践を紹介。生徒が協働して話し合い、先輩の作品から、表現の工夫や技巧を解明して自分たちの表現に活かすという探究活動を組み込み、創作をより豊かなものにしていました。

 いずれの報告からも「書写」という言葉の持つ狭く堅苦しいイメージから解放されて豊かな実践が生まれていました。たまたま会場係として参加した現地の方が「ふと立ち寄った美術館でいい作品に出会ったような分科会」だと感想を語ってくれました。