ダイジェストDigest
④数学教育
【基調提案】共同研究者から「数学教育における教具の役割」と題する基調提案がありました。数学教育は、小学校の具体物を伴って素朴に学んできた内容が、中学・高校では、順次、抽象的・論理的に整理されて、学ばれていくといわれますが、はたして、「中学・高校は、数学の抽象的な記号表現が身体に根ざした(接地した)経験と結びつかなくてもいいのだろうか。」という問いが提起されました。
【小学校】1日目午後、和歌山の報告は、7人の1年生に、ストーリー仕立ての紙芝居と自作プリントに基づきタイル操作で計算を定着させていきました。埼玉の報告は、興味を引く手作り教具で2年生かけ算の導入を行い、子どもは身の周りにあるかけ算を見出しました。
2日目午前は,大きさの違う瓶や容器に入れた水を4種類のリットル升(デシ,センチ,ミリを含む)で自由に測らせて数値で表す方法を考えさせた「1よりも小さい量を表す〈小数〉を獲得する道すじ」(奈良)の実践が報告されました。子どもたちが思い思いの方法で数値化し,みんなで試行錯誤しながら最終的に小数をつかんだ授業です。午後の東京の報告は、日常語と数学用語で異なる「高さ」に戸惑う補習教室の子どもに、様々な教具を工夫して三角形の面積の理解を深められるようにする過程についてでした。4本とも創意あふれる教具によって子どもが楽しく学んでいる様子が浮かび上がりました。
【高校】1日目午後の熊本私教連は、正多面体の模型をもとに、グループで頂点・辺・面の数を調べて、生徒自らオイラーの多面体定理を発見するなど、学習意欲を喚起させる「みんなでつくる新しい授業」の報告でした。「大学への数学への架け橋?にSSH探究講座『微分方程式入門』」(埼玉)は、数学が得意な高校生に大学進学後の学習を見据えて微分方程式について実践した報告でした。
2日目午前は、「高校生物の計算-数学の活用力を問う」(京都)は、「生物」固有の概念「遺伝・進化」の形成のための計算問題の報告でした。種の安定性を表すハーディ・ワインベルク法則を取り上げています。「複素数平面、ベクトルで『実数のかけ算』を見てみる」(富山)は、数名の数学Cの選択者に対し、数学の世界に興味を持って貰うことを意図し、1次元の事柄を、2次元と複素化して考えることを生徒に紹介しました。午後の「第1余弦定理に関する考察と今年の2025に関するTips」(岡山)は、教科書で扱っていない第1余弦定理の活用と西暦2025年にちなんだ話題の紹介でした。
【全体・総括討論】基調提案に基づき、グループ別に全員参加で振り返りを行い、教具制作と操作の時間の工面や教具を展開する順序、教具を互いに融通し合う必要性などの意見が出ました。他に、間違いや違う考えを生かす、データを用いて視覚化する、教科を横断することも提案されました。