ダイジェストDigest
③社会科教育
1.17本のレポート (小2 中6 高8 出版労連1)
今年の社会科教育分科会には17本のレポートが報告されました。近年小学校からの報告が出にくくなっている中、今回は複数の報告があり、どの報告でも子どもたちの生き生きした学習活動が語られました。
2.ICTをどう捉えるか、分科会で議論になった。
現場では、ICT機器を使わないと肩身が狭いくらいの雰囲気が作り出されています。その評価について当分科会でも議論が盛り上がりました。
「あえて、紙の掲示物の「手触り」を大事にしたい、「模造紙」による大型の掲示物が子どもの注意を引きつける。」
「ICT機器は子どもたちの思考を引き出し、意見の交流を深めるツールとして有効。」
という意見がでて、教師の専門性が問われる問題だと改めて感じました。
3.専門職としての教師の教材研究と、子どもの活動を引き出す授業つくり
分科会の中で、司会者団が「勉強になりますねー!」をうなずき合うシーンがありました。
関東大震災後の朝鮮人虐殺を取り上げた授業の報告で、従軍経験者によって組織された在郷軍人会との関わりを指摘されたときのことでした。「教科書を教える」のでなく、授業を作る教師が、誠実に歴史そのものと向き合ってこそ、作り出せた授業でした。報告者の先生はみなさん、「与えられた教材をどう教えるか」ではなく自らの課題意識から、「教育内容そのもの」を作り出されていた点が共通していました。そうであってこそ、授業の中で子どもたちは主体的に考え、自らの意見を交流させ始めることも確かめることができました。教育委員会、指導主事、管理職などから「指導要領原理主義」のような授業実践を強制される中で、そこに軸足を置き続けることの大切さを再認識しました。
4.不当に安く抑えられている教科書の問題
出版労連の報告は衝撃的でした。教科書の値段が安すぎることが、出版の寡占化を進めている事実に参加者が息をのみました。教科書といえども民間企業の出版物であり、適正な利潤がなければ事業として成り立ちません。にもかかわらず、文部科学省は原価計算も行わず、非現実的な低価格を押しつけています。それは「デジタル教科書」についても同じで、これにより比較的小規模な出版社が倒産や撤退に追い込まれることで、事実上の「国定化」に近づいていることがわかりました。
来年もすべての校種から、教師と子どもががっぷり四つに組んで生み出された授業が生き生きと報告されることを楽しみにしています。