ダイジェストDigest
フォーラムF テーマ「競争原理を超える学校づくりをめざして」
フォーラムFでは学園の高校校長がコーディネーターとなり、教職員、理事長、高校の生徒が登壇しました。前半の報告を受けて、後半は実践報告についての質問や意見、競争主義/管理主義教育の現状と課題などが語られ、ゆたかな意見交流ができました。
1 前口上 現代日本の教育と自由の森学園の挑戦
いま、日本の学校教育は〝①競争主義(点数序列主義)、②管理主義、③空気を読め/読む〟の3Kに覆われています。それがゆえに、子ども・若者の顔に光が射すことが少なく、深呼吸することが困難になっています。とりわけ、本学園は、①②に対しての異議申し立てとオルタナティブの提起を通じて、「人間がより人間らしく」成長する営みに教師が伴走する学校として創立されました。
建学の理念は「点数序列に依存しない、競争原理を超える学校教育をめざす」ことです。授業を中心に、「一方的伝達」ではない「対話」と「応答」の関係を教師と生徒で取り結びながら、学校づくりを続けています。
2 数学科・多様性を認め合える教育プロジェクト
担当教科である数学の教育実践と、多様性を認め合える教育プロジェクトの活動について報告します。
教師が解き方を生徒に教え込むのではなく、「問い」や「現象」を提示するところからはじまり、その問いを数学の世界に落とし込んで問題解決をおこない、最終的に数学的な解決が現実の問いの解決になっているか実証・裏付けまで一貫しておこなっています。中学、高校それぞれの具体的な授業について映像資料を踏まえて公開し、その特徴を報告しました。
多様性を認め合える教育プロジェクトの活動報告では、プロジェクトの概要と運営、これまでの活動実績を踏まえた上で、体育祭におけるアクションをメインに話しました。生徒主体でつくりあげる学校行事の1つである体育祭において、男女に分けて競技がおこなわれていたことを2021年度から見直す動きが始まりました。2021年度から現在に至るまで、生徒たちとともに「誰も傷つかない体育祭」を目指し、毎年議論を重ねてきました。数年にわたる議論の末、性やジェンダーをとりわけ問題にする必要性は収束しつつありますが、「一人も排除されない体育祭」を目指すことやそれをめぐる議論は現在も継続中です。
3 学園の経営とESD(Education for Sustainable Development)
学園は里山に立地しており、その自然環境を活かした環境教育を開校以来実践してきました。中学校では学年単位で「森の時間」を週一回設け、米づくり、林業などおこない、総まとめとして3年で沖縄学習につなげます。高校では十数講座の選択講座を開講し実践しています。私が担当している林業講座もその一つです。2017年にESDの実践校ネットワークであるユネスコスクールに加盟しています。
経営面では、09年から化石燃料からの脱却を始めました。体育館の暖房をバイオマスペレットボイラーに交換、福島原発事故後は電力の切り替えをおこない、19年には100%再生可能エネルギー電力としています。20年には学校寮の給湯と暖房もバイオマスボイラーに切り替え、地域の製材端材、間伐材を燃料にしています。その後、学園のワゴン車を、使用済み植物油を原料としたBDF(Bio Diesel Fuel)を燃料として走るものにもしました。生徒たちが天ぷら油プロジェクトを結成し、保護者や地域から使用済み植物油を回収しています。
市は江戸時代から林業で栄えた街です。地域と有機的につながる教育を構想し、選択講座で林業を扱うことにしました。私を含め、教科が異なる3名の教員で担当し、学園周辺の人工林の間伐、白神山地スタディツアー、炭焼きなどをおこなっています。国内各地の林業関係、森林保護関係に多くの講座卒業生が携わっています。
4 生徒から見える学園
学園での学びについて、主に3つのことを報告しました。①クラスづくりでの学び、②私学自主活動での学び、③選択授業「東北と復興」での学び。私は学園に入学してから、いろんな変化をしました。そんな変化をできたのはこの3つの学びがあったからこそでした。
1つ目のクラスづくりでの学びについては、「授業をつくる」ということと「クラスをつくる」ということは両輪の関係にあるということ。それを踏まえた上でクラスでは実際にどのようなとりくみがおこなわれているのか。私のクラスの視点から、実際に私のクラスで行われている「生活綴方」を基調とした報告をしました。
2つ目の私学自主活動での学びについては、私学助成に関する活動を中心とした有志活動グループに入ったことによって変化した自身の社会に対する眼差し方の変化をお話しました。中でも自分の中で大きく変化したきっかけとなった出来事である、去年の12月におこなわれた平和シンポジウムでの学びを報告しました。
3つ目の選択授業東北と復興での学びについては、今年から私が選択した東北と復興という東北地方の復興の過程から現代社会の構造を見つめ直すことを目的とした選択授業での学び。その学びの一環としての石巻スタディツアーを通して知覚した非当事者としての私が感じたこと、考えたことについて報告しました。
なお、私の報告は、あくまで本学園にいる、900人弱の生徒の中の1人のものでしかないことを承知して下さい。