ダイジェストDigest
フォーラムC 「多様性を尊重する社会と教育とは?~子どもたちがつきつける学校の問題~」
今年のフォーラムCは、「多様性を尊重する社会と教育とは?~子どもたちがつきつける学校の問題~」と題して、元高校教員の方、現役の高校教員の方、元小学校教員で「親の会」で活動しておられる方から、それぞれ子どもの声を大切にした実践や活動を報告していただき、中村雅子さん(民主教育研究所)の司会のもと、参加者からの質問・意見を通じてテーマを深めました。
最初に、基調報告として、コーディネーターの杉田真衣さん(東京都立大学)から、「『多様性を認めよう』とスローガンっぽく言われると圧を感じる」「できるだけ人を傷つけたくないし、差別をしたくない。だから、踏み込むのが怖い」と言った大学生の言葉が紹介され、この大学生たちをどうとらえ、「多様性」をどのように伝えていくのかということが全体を貫く問題提起となりました。3人の報告は次の通りです。
元高校教師の方からは、「先生なら解ってくれると思った」と言って性自認に関することを打ち明けてくれた生徒との出会いとかかわりが語られました。数年前から、教室に入れずに憔悴していた生徒の居場所としてつくった別室の「部屋」は、年を追うごとに次々と子どもたちが訪れるようになっていたこと、カミングアウトを受けた後、悩みながらも本人が少しでも安心して過ごせる学校をめざして、職員に働きかけたり学年づくりに力を入れていったこと、そのためにまず自らが学習したこと、そして、卒業後の生き方も見据えて本人が頼ることができる親子関係の構築に努めたことなどなどが語られました。
続いて、現役高校教師の方からは、不登校経験がある自分の生い立ちと、その中で出会った本によって芽生えた「本当の教育」への憧れ。その憧れを現実のものとするために教員をめざし、教員2年目の今、生徒の主体性を発揮できる授業や「みんなでつくる」授業を試行錯誤しながら実践していること、そして、その中での自分自身の授業観がどんどん磨かれていく様子が語られました。
最後に、小学校教員の方から出会った子どもたちの姿や、「親の会」に関わるようになった経緯、さまざまな親子との活動から気づかされたこと、「子どもの声を聴くこと」の大切さと難しさを痛感したこと、そして、今こそ、声を出せない子どもたちの居場所づくりが求められていることなどが語られました。
会場から、「『多様性の尊重』は『個人の尊重』であり、一人ひとりが大切にされていると感じられることが多様性を認めるということ」「学校は良い子を大量生産して、良い子の中に、自分の声を聞き取ってもらえないという傷つきを与えてきた」「自分が自分であっていいと思えない人が、他者の多様性や異質性を受け入れるのは困難だ。それは、教師も同じ」といった発言があり、議論が深まりました。